在庫車を海外に売るには?中古車輸出の流れと輸出業者にならず海外販売する方法

「国内では値が付かない多走行車が、海外では高く売れる」——中古車輸出の世界ではよく聞く話です。実際、日本の中古車は世界各国で高い評価を受けており、国内需要より海外需要のほうが大きい車種も存在します。この記事では、中古車販売店・整備工場が自社の在庫車を海外に売るための方法を、輸出の基本的な流れ、実務上のハードル、そして輸出業者にならずに海外へ販売する現実的な手段まで整理して解説します。

中古車輸出とは?日本車が海外で売れる理由

中古車輸出とは、日本国内で流通している中古車を海外のバイヤーへ販売し、船便などで輸出することを指します。日本車が海外で評価される理由は、主に次の点にあります。

  • 整備記録が残っている:車検制度と定期点検の文化により、整備履歴が明確な個体が多い
  • 使用環境が良い:舗装路が整備され、塩害地域が限定的なため、下回りの状態が比較的良好
  • 耐久性への信頼:日本車ブランドそのものが世界的に高い信頼を得ている
  • 右ハンドル需要:右側通行ではない国・地域では、日本の右ハンドル車がそのまま使える
  • 年式・走行距離の基準が異なる:国内では敬遠される10年落ち・10万km超の車も、海外では現役の実用車として評価される

この最後の点が重要です。国内の中古車市場で敬遠される条件が、海外市場ではマイナスにならないケースが多くあります。だからこそ、国内で滞留している在庫の出口として海外は有力な選択肢になります。

海外に売りやすい在庫車の特徴

すべての車が海外向けというわけではありません。国内小売より海外のほうが評価されやすいのは、次のような車両です。

多走行・高年式落ちの実用車

国内では走行10万kmを超えると小売が難しくなりますが、海外では実用車として十分に需要があります。

ディーゼル車・商用バン・トラック

業務用途の需要が強い地域では、商用車の引き合いが安定しています。

4WD・SUV

道路事情が厳しい地域では、悪路走破性のある車両が高く評価されます。

国内では不人気な色・グレード

色やグレードの好みは国によって異なります。国内で敬遠される仕様が、輸出先では標準的に受け入れられることがあります。

年式規制の条件に合致する車

輸入国側が「製造から◯年以内」といった年式規制を設けている場合、その条件に合う車両に需要が集中します。規制内容は国ごとに異なり、改定もされるため、最新情報の確認が必要です。

中古車を輸出する基本的な流れ

自社で直接輸出を行う場合、おおむね次の手順を踏みます。

  1. 海外バイヤーの開拓と商談:輸出先国のバイヤーを見つけ、車種・条件・価格を交渉します
  2. 成約・入金確認:国際送金の着金を確認してから車両を引き渡すのが原則です
  3. 輸出抹消登録:運輸支局で輸出抹消仮登録等の手続きを行い、輸出抹消仮登録証明書の交付を受けます
  4. 船積み手配:船会社・乙仲(海貨業者)を通じて、RORO船やコンテナの船腹を確保します
  5. 通関手続き:インボイス等の書類を用意し、輸出申告を行います
  6. 船積み・B/L発行:船積み後、船荷証券(B/L)が発行されます
  7. 書類送付・決済完了:B/Lなどの船積書類をバイヤーへ送付し、取引を完了します

自社で中古車輸出を行う際のハードル

手順を並べると単純に見えますが、実務では次の負担が発生します。中古車販売店が「海外にも売りたいが手が出せない」と感じる主な理由です。

1. 海外バイヤーの開拓が難しい

信頼できるバイヤーをゼロから見つけるのは容易ではありません。取引実績のない相手との国際取引には、代金回収のリスクが伴います。

2. 外国語でのやり取りが必要

商談・条件交渉・クレーム対応まで、すべて外国語で行う必要があります。専任者を置ける規模の店舗でなければ、現実的ではありません。

3. 時差による対応負荷

海外バイヤーからの商談は、日本時間の深夜や早朝にも入ります。日中の店舗業務と並行して対応するのは大きな負担です。

4. 通関・船積み・関税の知識が必要

輸出抹消登録、インボイス作成、乙仲との調整、輸入国側の規制確認など、覚えるべき実務が多岐にわたります。

5. 代金回収リスク

前受金の設定、送金確認の徹底、船積書類を渡すタイミングの管理など、回収面の管理体制が求められます。

これらを自社で内製化するには、相応の人員と時間の投資が必要です。「海外の需要は取りたいが、輸出業者にはなりたくない」——これが多くの販売店の本音ではないでしょうか。

輸出業者にならずに在庫車を海外へ売る3つの方法

自社で輸出実務を抱えずに、海外需要を取り込む方法があります。

方法1:海外向けポータルサイトに在庫を掲載する

日本の中古車を海外バイヤー向けに紹介するポータルサイトに、自社の在庫を掲載する方法です。代表的なサイトには TCVCARFROMJAPANPicknBuy24.comCardealPage などがあります。世界中のバイヤーが日本車を探しに来る場所に在庫を並べることで、国内では動かない車に引き合いが入る可能性が生まれます。

方法2:中古車貿易会社の自社サイトに載せてもらう

中古車貿易を専門に行う会社が、世界各地で展開している自社サイトに在庫を掲載する方法です。バイヤーとの交渉や外国語対応、輸出実務は貿易会社側が担うため、販売店は通常の共有在庫と同じ感覚で在庫の確認と成約を行うだけで済みます。

方法3:一括登録サービス経由で複数の海外チャネルに出す

上記の海外向けポータルや貿易会社サイトへ、1回の入力でまとめて掲載する方法です。国内の共有在庫サイトと海外向けチャネルを同時に扱えるため、「まず国内で売り、動かなければ海外へ」ではなく、最初から国内外の両方に出しておく運用ができます。

海外への出口を持つと在庫戦略が変わる

海外チャネルを持つことの本質的な価値は、単に「もう1つ売り先が増える」ことではありません。下取りと仕入れの判断基準が変わる点にあります。

  • 多走行車の下取りを、従来より強気に提示できる
  • 国内で不人気な仕様の車を、値下げせずに保有できる
  • 長期在庫化する前に、別市場へ切り替える判断ができる
  • 相場下落局面でも、国内相場だけに損益を左右されにくくなる

国内小売・国内業販・海外という3つの出口を持つことで、1台ごとに最も条件の良い市場を選べるようになります。これは在庫リスクの分散そのものです。業者間販売全般の考え方は「中古車の業販とは?」で解説しています。

国内外のチャネルに一括で在庫を出す方法

在庫車を販売チャネルに一括登録」サービスは、車両販売管理ソフトに入力した在庫情報を、国内外の複数チャネルへまとめて登録できるシステムです。

海外向けの対応チャネルは次のとおりです。

  • 海外向けポータルサイト:TCV/CARFROMJAPAN/PicknBuy24.com/CardealPage
  • 海外輸出向けサイト:中古車貿易会社が独自に世界展開する自社サイトへ、無料で在庫車両を掲載

これに加えて、国内共有在庫サイト(Quick×Quick/ASNET/アイオーク/JUテントリ/バザールネット)、中古車カーリース会社向けサイト、中古車検索サイト(カーセンサー「C-MTCH」/Goo「MOTORGATE」)、ヤフオク、自社専用在庫ホームページを含む14サイト+自社HPから掲載先を選べます。

重要なのは、海外バイヤーとの交渉や外国語でのやり取りをサービス側の担当者が行う点です。販売店は通常の共有在庫と同じように在庫確認と成約対応をするだけで、語学対応・時差対応・関税や船便の手配といった負担を負いません。自社で輸出体制を構築することなく、海外需要を取り込めます。

料金は入会金・月会費・年会費・掲載料・出品料が無料成約料・落札料が1台あたり15,000円(税別)の成果報酬型です。出品料無料の対象には、一括共有在庫出品・海外向けサイト・中古車リース向け供給出品が含まれます(ヤフオク出品は月額11,000円が別途必要。本サービスの利用には自動車の整備システムまたは販売システム〔月額6,600円〜/税込〕の利用が前提となります)。在庫を海外に出しておくこと自体には固定費がかからないため、まず出口を確保しておくという使い方ができます。

よくある質問(FAQ)

Q. 中古車輸出を始めるには何が必要ですか?

A. 自社で直接輸出を行う場合、中古車の売買業としての古物商許可に加え、輸出抹消登録の手続き、通関・船積みの手配、海外バイヤーの開拓と外国語での交渉体制が必要です。輸出業者にならずに海外へ販売したい場合は、海外向けポータルへの掲載や、輸出実務を代行する貿易会社経由での販売が現実的な選択肢になります。

Q. どんな中古車が海外で売れやすいですか?

A. 多走行の実用車、ディーゼル車、商用バン・トラック、4WD・SUVなどが挙げられます。国内では敬遠される走行距離・年式でも、海外では実用車として評価されるケースが多くあります。ただし輸入国ごとに年式規制などが設けられている場合があるため、最新の規制内容の確認が必要です。

Q. 外国語ができなくても海外に売れますか?

A. 販売店が直接交渉する形であれば語学対応が必要ですが、海外バイヤーとのやり取りを代行するサービスを利用すれば、外国語でのやり取りなしで海外への販売が可能です。

Q. 代金の回収が不安です。

A. 直接輸出では、前受金の設定や送金着金の確認、船積書類を引き渡すタイミングの管理といったリスク管理が必要です。国内の事業者を介した取引であれば、決済は国内取引として完結するため、回収面の不安は大きく軽減されます。

Q. 海外に出しながら国内でも小売を続けられますか?

A. 可能です。車両は自社に置いたまま情報だけを各チャネルに流す形になるため、海外・国内業販・国内小売を並行して進められます。ただし成約時には各チャネルで速やかにSOLD OUT処理を行う必要があります。処理を一括で行える仕組みの利用をおすすめします。

Q. 輸出向けに出すと安く買い叩かれませんか?

A. 提示価格は出品側が設定できます。むしろ、国内相場では評価されない条件の車が海外市場で正当に評価されるケースがあり、値下げして国内で処分するより手取りが良くなることもあります。国内と海外の両方に出しておき、条件の良いほうで成約させるのが合理的です。

まとめ

日本の中古車は海外で高く評価されており、国内では敬遠される多走行車・商用車・不人気仕様の受け皿として、海外市場は有力な出口です。ただし自社で輸出実務を担うには、バイヤー開拓・外国語対応・時差対応・通関や船便の手配・代金回収リスクという高いハードルがあります。

現実的な解は、輸出業者にならずに海外チャネルへ在庫情報を出すことです。海外向けポータルや貿易会社の自社サイトに掲載すれば、交渉と実務は相手側に任せたまま海外需要を取り込めます。国内の共有在庫と海外チャネルへ同時に一括登録すれば、1台ごとに最も条件の良い市場で成約させる運用が可能になります。

海外を含む複数チャネルへの一括登録について、詳しい資料をご用意しています。

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