中古車のネット販売の始め方|掲載チャネルの選び方、通信販売の表示事項と支払総額、遠隔地納車

中古車のネット販売とは、販売店が在庫車をインターネット上に掲載し、来店しないお客様からも電話やメールで注文を受けて売ることです。この記事は中古車販売ノウハウの一つとして、店頭販売を中心にしてきた販売店向けに、中古車のネット販売の始め方を扱います。通信販売の表示事項と支払総額、遠隔地納車の決まりを法令で確認し、掲載チャネルの種類、古物営業法のURL届出、名義変更の期限、トラブルを防ぐ書き方まで順に整理しました。最後に、1回の入力で複数のチャネルに在庫を載せる方法を紹介します。
この記事で確認した一次情報
- 特定商取引法ガイド 通信販売(消費者庁)広告の表示事項、省略できる場合、返品の扱い
- 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わりました(自動車公正取引協議会)支払総額の表示方法と諸費用の範囲
- 古物営業法(e-Gov法令検索)URLの記載、変更の届出、Webでの表示
中古車のネット販売を始める前に決めること
中古車のネット販売を始める販売店が最初に決めるのは、どの範囲まで店に来ないお客様に売るかです。ネットに在庫を載せて来店を待つだけなら店頭販売の延長ですが、電話やメールで契約まで進めて遠方へ納車すると、特定商取引法の通信販売に当たり、広告の表示事項や返品の扱いのルールがかかります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、インターネット・オークションサイトを含むホームページの広告を見た消費者が、インターネットや電話で申し込む取引を通信販売と説明しています。あわせて、2023年10月1日から中古車の価格は「支払総額」で表示することになっており、ネットの広告も同じです。決める順番は、売る相手(一般のお客様か業者か)、売る地域(県内か全国か)、契約の方法(来店か非対面か)、納車の方法(店頭か陸送か)の4つです。これが決まると、必要な表示、諸費用の内訳、登録の手配が決まります。
| 決めること | 選択肢 | 関わるルール |
|---|---|---|
| 売る相手 | 一般のお客様/業者 | 業者間取引は特定商取引法第26条で通信販売の規定の適用除外 |
| 売る地域 | 県内のみ/全国 | 管轄外登録の費用、遠隔地への納車費用 |
| 契約の方法 | 来店して契約/非対面で契約 | 非対面なら通信販売の表示事項と返品の扱い |
| 納車の方法 | 店頭納車/指定場所まで配送 | 納車費用は諸費用に含められる |
中古車のネット販売で使う掲載チャネルの種類
中古車のネット販売で在庫を載せる先は、大きく5種類に分かれます。一般のお客様向けには、カーセンサーやグーネットのような中古車検索サイト、ヤフオクのようなオークションサイト、自社のホームページがあります。業者向けには、販売店どうしで在庫を売買する共有在庫があり、海外のバイヤー向けには輸出用のポータルサイトがあります。それぞれ見る人と契約の形が違い、一般向けのチャネルは通信販売の表示と支払総額表示の対象になり、業者向けの共有在庫は運営会社の規約に従って取引します。ヤフオクの場合は、Yahoo!オークションガイドライン細則の出品ルール21で、二輪を除く中古自動車本体の商品情報に車両価格、支払総額、諸費用を必ず明記するよう定められています。最初から全部に載せる必要はなく、店の在庫の傾向に合うものから始め、売れ方を見て増やすのが現実的です。
| チャネルの種類 | 見る人 | 主な例 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| 中古車検索サイト | 一般のお客様 | カーセンサー、グーネット | 掲載契約、支払総額の表示 |
| オークションサイト | 一般のお客様 | ヤフオク | 中古車・新車カテゴリの出品ルール |
| 自社ホームページ | 一般のお客様、既存客 | 自社の在庫一覧ページ | 通信販売の表示、古物営業法のURL届出 |
| 共有在庫 | 販売店(業者) | JUテントリ、バザールネットなど | 各運営会社の入会条件と規約 |
| 海外向けポータル | 海外のバイヤー | TCV、CAR FROM JAPANなど | 契約の当事者、FOB価格の範囲 |
中古車検索サイトの費用の考え方はカーセンサーとグーネットの掲載料、業者向けの売り先は共有在庫とは、海外への売り方は在庫車を海外に売るにはで解説しています。
在庫車を販売チャネルに一括登録
中古車のネット販売で使う複数のチャネルに、在庫車の情報を1回の入力でまとめて載せたい販売店は、対応チャネルをまとめた資料をご覧ください。
中古車のネット販売に必要な通信販売の表示事項
中古車をネットで売る通販の広告には、特定商取引法第11条が定める事項を表示します。消費者庁の特定商取引法ガイドが挙げる主な表示事項は、販売価格(送料を含む)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間の定めがあるときはその内容、契約の申込みの撤回や解除に関する事項(返品特約を含む)、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号です。法人がインターネットで広告するときは、代表者か通信販売の業務責任者の氏名も表示します。販売価格や送料以外にお客様が負担するお金があればその内容と額、契約不適合のときの責任について定めがあればその内容も対象です。請求があれば書面やメールで遅滞なく渡す旨を表示すれば一部を省略できますが、返品に関する事項など省略できない項目があります。さらに、インターネットの申込み画面では、最終確認画面に分量、価格、支払時期、引渡時期、撤回や解除の事項などを表示するよう第12条の6で定められています。
| 表示事項(特定商取引法第11条ほか) | 中古車での書き方の例 |
|---|---|
| 販売価格と送料 | 支払総額と、その内訳の車両価格と諸費用。納車費用の扱い |
| 代金の支払時期と方法 | 契約時の手付金、残金の期日、振込かローンか |
| 商品の引渡時期 | 入金確認から何日後に納車するか、登録の所要日数 |
| 申込みの撤回や解除(返品特約) | 返品を受けるかどうか、受ける場合の期間と費用負担 |
| 事業者の名称、住所、電話番号 | 会社名と所在地、問い合わせ先。法人は代表者か責任者の氏名 |
| そのほか購入者が負担する金銭 | オプション、管轄外登録の追加費用など |
| 契約不適合のときの責任 | 保証の有無と内容、責任を負う期間 |
特定商取引法第15条の3により、通信販売では引渡しを受けた日から8日以内なら、消費者は申込みの撤回や解除ができます。広告に返品特約を表示していれば特約が優先されるため、中古車の返品を受けない店は、その旨を広告と最終確認画面の両方に書いておきます。
中古車のネット販売での支払総額の表示と遠隔地への納車費用
中古車をネットで売るときも、価格は支払総額で表示します。自動車公正取引協議会によると、2023年10月1日に施行された改正規約で、中古車の販売価格は「車両価格」に「諸費用」を加えた「支払総額」の名称で表示し、内訳として車両価格と諸費用の額を示すことになりました。あわせて、価格に保険料、税金、登録等に伴う費用が含まれる旨と、登録の時期や地域などに一定の条件を付けた価格である旨を表示します。例として「支払総額は、○月現在、県内登録(届出)で店頭納車の場合の費用です」という書き方が示されています。遠方のお客様に売る場合、購入者の指定する場所まで配送する「納車費用」と、県外など管轄外の運輸支局で登録する「管轄外登録(届出)費用」は、購入者の依頼で発生する登録等に伴う費用として扱えます。一方、納車前の点検や仕上げの費用、必ず付ける保証の費用、「オークション陸送費」や「広告掲載料」は諸費用として請求できず、車両価格に含めます。なお、環境性能割は2026年3月末で廃止されています。
| 費用 | 公取協の整理 | ネット販売での扱い |
|---|---|---|
| 法定費用(税金、保険料、登録の印紙代など) | 諸費用に含める | 支払総額に入れて表示 |
| 納車費用(指定場所までの配送) | 登録等に伴う費用。購入者により要否が異なる | 店頭納車の支払総額とは別に、地域別の目安を示す |
| 管轄外登録(届出)費用 | 登録等に伴う費用 | 県外のお客様に見積もりで提示 |
| 納車準備費用、仕上げ費用 | 請求できない | 車両価格に含める |
| オークション陸送費、広告掲載料 | 請求できない | 車両価格に含める |
中古車のネット販売で必要な古物営業法の届出と名義変更
自社のホームページで中古車の情報を公開し、そこから取引の申込みを受ける販売店は、古物営業法上の手続きも確認します。古物営業法第5条第1項第6号は、ホームページなどで古物の情報を公開して申込みを受ける方法を用いるかどうかと、その送信元を識別する文字(URL)を許可申請書の記載事項にしています。許可を受けた後にURLを新しく使う場合や変える場合は、第7条第2項の変更の届出を行います。第12条第2項は、古物商に対して、氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号をインターネットで閲覧できるようにするよう求めています。納車後の名義変更は、道路運送車両法第13条により、新所有者が所有者の変わった日から15日以内に移転登録を申請します。遠方のお客様には、販売店が登録を代行するか、書類を送ってお客様側で行うかを決めておきます。Yahoo!オークションの自動車取引ガイドは、車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請先を新しい所有者の住所を管轄する警察署と案内しており、遠隔地の販売では書類の往復に日数がかかります。
- ホームページのURLを古物営業法の届出に入れているか確認する。
- ホームページに会社名、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を載せる。
- 登録を代行するか、お客様が行うかを決め、必要書類の一覧を作る。
- 車庫証明の取得と移転登録が15日以内に終わる段取りを組む。
中古車のネット販売で起きやすいトラブルの防ぎ方
中古車のネット販売では、お客様が現車を見ないまま契約することが多く、納車後に「聞いていた状態と違う」という食い違いが起きやすくなります。特定商取引法第12条は、通信販売の広告で、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良または有利と誤認させる表示を禁止しています。修復歴、要整備箇所、走行距離の状態は広告の段階で書き、画像は傷の箇所も含めて載せます。写真は外装の四方と運転席まわりをそろえ、へこみや塗装の剥がれは寄りの1枚を足すと、現車確認ができないお客様の不安が減ります。走行距離は、整備点検記録簿などで実走行かどうかを確かめてから表示します。返品を受けるかどうか、保証の有無と範囲、納車までの日数も、問い合わせの段階で書面かメールで渡しておくと、後で確認できます。
中古車のネット販売で複数のチャネルに同時に載せる方法
ネット販売に慣れてくると、同じ在庫を一般向けの検索サイト、業者向けの共有在庫、海外のバイヤー向けサイトに並べて、最初に買い手が付いたところで売る形が取れます。ただし、掲載先が3つ、4つと増えると、車両情報の入力も売約後の掲載停止もその数だけ必要になり、停止が漏れると売約済みの車に問い合わせが来ます。日本カーネットの「在庫車を販売チャネルに一括登録」サービスでは、車両販売管理ソフトに在庫車を一度登録すれば、管理画面で掲載したいチャネルを選んで一度にアップロードできます。売約後は掲載停止もまとめて行えます。
公式サイトに書かれている対応先は、次のとおりです。国内の共有在庫はQuick×Quick、ASNET、アイオーク、JUテントリ、バザールネットの5つです。海外向けポータルはTCV、CARFROMJAPAN、PicknBuy24.com、CardealPageの4つで、ほかに中古車貿易会社サイトと中古車カーリース会社向けサイトがあります。一般のお客様向けには、ヤフオクと自社専用の在庫ホームページに載せられます。カーセンサーの「C-MATCH」とGooの「MOTORGATE」にも連動できますが、こちらは各社との別途契約が必要です。
ご利用には、弊社の整備システムまたは販売システムが必要です。自社専用の在庫ホームページは他社の在庫が混ざらないため、整備の納品書や案内はがきに載せて既存のお客様を誘導する使い方もできます。
まとめ
中古車のネット販売を始めるときは、売る相手、地域、契約の方法、納車の方法を先に決めます。一般のお客様に非対面で売るなら特定商取引法の通信販売に当たり、販売価格、支払時期と方法、引渡時期、返品特約、事業者の名称と住所と電話番号などを広告に表示します。返品特約を書かないと、引渡しから8日以内の撤回や解除の対象になります。価格は支払総額で表示し、遠方への納車費用と管轄外登録の費用は諸費用として扱えます。自社ホームページで売る場合は古物営業法のURLの届出と許可番号の表示を確認し、名義変更は新所有者が15日以内に行います。複数のチャネルに在庫を出すなら、1回の入力で一括登録できる仕組みを使うと手間が増えません。
中古車のネット販売に関するよくある質問
- 中古車をネットで売るとき、特定商取引法の通信販売に当たりますか?
- 消費者庁の特定商取引法ガイドは、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む)の広告を見た消費者が、インターネットや電話で申し込む取引を通信販売と説明しています。ネットに載せた中古車を、来店せずに電話やメールで契約する場合は通信販売に当たり、広告の表示義務がかかります。
- ネットで売った中古車は、納車後8日以内なら返品されてしまいますか?
- 特定商取引法第15条の3により、通信販売では商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、消費者は申込みの撤回や契約の解除ができます。ただし、広告にあらかじめ返品についての特約を表示していれば、その特約に従います。返品を受けない場合は、その旨を広告に分かりやすく書いておきます。
- 業者向けの共有在庫で売る場合も、通信販売の表示は必要ですか?
- 特定商取引法第26条第1項第1号は、購入者が営業のために、または営業として締結する契約には通信販売の規定を適用しないと定めています。販売店どうしの業者間取引は、通常この適用除外に当たります。一般のお客様に売る場合は対象になります。
- 遠方のお客様に届ける陸送費は諸費用として請求できますか?
- 自動車公正取引協議会の解説では、購入者の指定する場所まで配送する際の「納車費用」は、登録等に伴う費用として諸費用に含められるものに挙げられています。一方、「オークション陸送費」のように本来車両価格に含めるべき費用は諸費用として請求できません。
- 自社ホームページで中古車を売る場合、警察への届出は必要ですか?
- 古物営業法第5条第1項第6号は、ホームページなどで古物の情報を公開して取引の申込みを受ける方法を用いるかどうかと、そのURLを許可申請書の記載事項にしています。許可後にURLを新しく使う場合や変える場合は、第7条第2項の変更の届出を行います。
- 在庫車の情報や顧客の管理は、どうすればよいですか?
- 販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。
- 消費者庁 特定商取引法ガイド 通信販売:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- 古物営業法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わりました:https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/index.html
- Yahoo!オークションガイドライン細則:https://guide-ec.yahoo.co.jp/notice/rules/auc/detailed_regulations.html
- Yahoo!オークション自動車取引ガイド 車の出品ガイド:https://auctions.yahoo.co.jp/car/guide/carguide/sell/
- 日本カーネット 在庫車を販売チャネルに一括登録:https://cds.j-carnet.co.jp/









