中古車輸出の始め方|輸出抹消仮登録と通関の手順、仕向国の規制と代金回収の注意点

中古車輸出の始め方 輸出抹消仮登録から通関、規制の確認、代金回収までの手順

中古車輸出は、国内の販売とは違う登録手続き、通関、輸出規制の確認、代金回収の管理が必要になります。この記事は中古車販売ノウハウの一つとして、業者として「中古車輸出の始め方」を扱います。輸出抹消仮登録から通関、規制の確認、代金回収までの手順を、税関、国土交通省、経済産業省、ジェトロなどの公表資料で順に確認しました。輸出業者にならずに海外へ売る方法は在庫車を海外に売るにはで扱っているため、この記事では自社で輸出する場合の手続きに絞ります。

中古車輸出の方法と全体の流れ

中古車輸出とは、国内で登録されていた中古車を海外の買い手に売り、運輸支局等での抹消の手続きと税関での輸出申告を経て船積みすることです。ジェトロの貿易投資相談Q&Aは、日本から中古車を輸出する際の通関書類として、インボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)、輸出抹消登録証明書、買い手から求められた場合の船積前検査証明書を挙げています。手続きの順番は、買い手との売買契約、代金の入金確認、海貨業者の選定と書類作成、船腹の手配、輸出抹消仮登録又は輸出予定届出証明書の取得、保税地域への搬入、税関への輸出申告と許可、船積みとB/Lの受け取りです。輸出が許可されると、税関から国土交通省に輸出許可の情報が送られ、輸出抹消の情報が自動車リサイクル促進センター(JARC)へ送られます。最後に、輸出者がJARCへリサイクル料金の取戻しを申請します。

順番手続き主な相手・窓口
1海外の買い手と売買契約を結ぶ買い手
2前払い条件なら入金を確認してから仕入れる自社・銀行
3海貨業者を選び、インボイスやパッキングリストを作る海貨業者
4船腹を手配する(FOB契約なら買い手が予約)船会社・海貨業者
5輸出抹消仮登録又は輸出予定届出証明書の交付を受ける運輸支局等・軽自動車検査協会
6車を洗車、清掃し、指定の保税地域に搬入する海貨業者
7輸出申告、検査、許可税関(通関業者の代理申告も可)
8船積み後にB/Lを受け取り、買い手に書類を送る船会社・海貨業者
9リサイクル料金の取戻しを申請する自動車リサイクル促進センター

表の流れはジェトロのQ&Aをもとに整理したものです。現地での輸入に必要な書類は国ごとに違うため、ジェトロも必ず海外の買い手に確認するよう求めています。

中古車輸出に必要な許可と準備

中古車輸出を始めるときに最初に確認するのは、仕入れの方法と取引先の体制です。ジェトロのQ&Aによると、古物商の許可は税関での輸出申告の必要条件ではありませんが、国内で中古車を買い取る場合は輸出目的でも古物商許可(古物営業法)が必要です。中古車販売店であれば既に許可を持っているはずなので、追加で必要になるのは、輸出の実務を任せる海貨業者、船積みの手配、外国語での契約と連絡の体制です。ジェトロは、通関手続きを円滑にするため中古車輸出に慣れた海貨業者を選ぶよう勧めています。インボイスには車種、車体番号、年式、ガソリン車かディーゼル車かの区別、排気量などを明記します。

  • 古物商許可の有無と、許可を受けた営業所を確認した。
  • 中古車輸出に慣れた海貨業者(乙仲)と通関業者を決めた。
  • 売買契約書の書式(取引条件、支払条件、引渡し条件)を用意した。
  • インボイスに書く車両情報(車種、車体番号、年式、燃料、排気量)を在庫データから出せる。
  • 買い手の事業内容と、輸出先の国で求められる書類を確認する手順を決めた。

輸出抹消仮登録と輸出予定届出証明書

輸出抹消仮登録とは、登録自動車を輸出する前に運輸支局又は自動車検査登録事務所で行う手続きで、交付された輸出抹消仮登録証明書を税関に提出して確認を受けます。税関のカスタムスアンサー(5502)は、登録自動車の所有者は道路運送車両法の規定に基づき、あらかじめ「輸出抹消仮登録」を申請し証明書の交付を受けなければならないとしています。既に一時抹消登録を受けた自動車の場合は、輸出する旨を届け出て一時抹消登録証明書を返納し、「輸出予定届出証明書」の交付を受けます。どちらの証明書も、輸出予定日の6か月前から交付を受けられます。軽自動車は軽自動車検査協会で輸出予定届出証明書を受け、手数料は1件500円です(軽自動車検査協会、2026年4月13日更新)。登録自動車の手数料は東北運輸局のページに記載がありますが、令和8年4月1日以降の手数料は別に案内されているため、申請する運輸支局の最新の案内で確認してください。

車両の状態受ける証明書窓口
一時抹消登録をしていない登録自動車輸出抹消仮登録証明書運輸支局又は自動車検査登録事務所
一時抹消登録済みの登録自動車輸出予定届出証明書(一時抹消登録証明書を返納)運輸支局又は自動車検査登録事務所
軽自動車輸出予定届出証明書軽自動車検査協会

国土交通省の自動車検査登録ポータルでは、輸出抹消仮登録の提出書類として、輸出の予定日を記入した申請書(OCR申請書第3号様式の2)、手数料納付書、発行から3か月以内の所有者の印鑑(登録)証明書、代理人が申請する場合の委任状、自動車検査証、自動車登録番号標(ナンバープレート)などを挙げています。東北運輸局の案内では、輸出予定日を経過した場合や輸出を取りやめた場合は、輸出抹消仮登録証明書又は輸出予定届出証明書の返納手続きが必要です。

ジェトロのQ&Aは、解体した車両は使用済自動車の扱いとなり、廃棄物の輸出に当たる可能性があると注意しています。部品取り車を輸出する場合は、自動車として輸出するのか、部品として輸出するのかを先に整理してください。

在庫車を販売チャネルに一括登録

輸出の手続きを自社で抱えずに海外の買い手へ在庫を見せたい場合は、海外向けポータルや中古車貿易会社サイトへの一括掲載もご検討ください。

資料請求・お問い合わせ(無料)サービスの機能を見る

中古車の輸出通関の手続き

輸出通関とは、貨物を輸出するときに税関へ輸出申告を行い、必要な検査を経て許可を受ける手続きです。税関のカスタムスアンサー(5001)は、輸出の申告は保税地域に搬入する前でも行えるものの、輸出の許可は原則として保税地域に搬入した後に行われると説明しています。申告は、輸出者から委任を受けた通関業者が代理で行うこともできます。中古車の場合は、輸出申告の際に輸出抹消仮登録証明書又は輸出予定届出証明書を税関に提出し、確認を受けることが必要です(5502)。ジェトロのQ&Aは、車体やタイヤの泥、車内の植物や種子が輸入国で検疫の問題になるおそれがあるとして十分な洗車と清掃を求め、室内や荷室に標準装備品(予備タイヤ1本と工具類一式)と仕入書に記載した貨物以外の物があると、密輸出の嫌疑を受けて輸出許可が止まるおそれがあるとしています。

  • 輸出申告書に、仕入書(インボイス)とその他必要な書類を添える(関税法第67条ほか)。
  • 輸出抹消仮登録証明書又は輸出予定届出証明書は原本を税関に提出する。
  • 車内と荷室から、標準装備品と仕入書に書いた物以外を降ろす。
  • 税関検査に時間がかかっても間に合うよう、船積みまで余裕をもって申告する。
  • コンテナ詰めでは、ガソリン抜きやバッテリーの端子外しの証明を船会社から求められることがある。

仕向国の輸出規制と輸入規制の確認先

中古車の輸出規制は、日本側の規制と輸入国側の規制の2つを確認します。日本側では、外国為替及び外国貿易法(外為法)と輸出貿易管理令による規制があり、税関の「輸出関係他法令の概要」(5501)にも、制裁(輸出禁止措置)対象貨物などを所管する法令として外為法と輸出貿易管理令、中古自動車を所管する法令として道路運送車両法が並んでいます。具体例として、経済産業省は2023年7月28日、ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止措置を拡大する政令の閣議決定を公表し、2023年8月9日から排気量1,900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車などのロシア向け輸出を禁止しました。さらに、リスト規制に当たらない貨物でも、用途や需要者を確認した結果、大量破壊兵器等や通常兵器の開発などに使われるおそれがある場合は経済産業大臣の許可が必要になるキャッチオール規制があります。

確認すること確認先この記事で確認した内容
輸出禁止・許可が必要な仕向国と品目経済産業省(貿易管理)ロシア向けは2023年8月9日から1,900cc超の車やハイブリッド車などを禁止
用途と需要者の懸念経済産業省(キャッチオール規制)客観要件とインフォーム要件のどちらかに該当すれば許可申請
中古車輸出の他法令確認税関(5501)道路運送車両法の手続きを税関で確認
輸入国の年式規制や検査ジェトロの国・地域別情報、買い手国ごとに違うため、この記事では個別に確認していない

輸入国側の年式規制や右ハンドル車の扱い、船積前検査の要否は国ごとに異なり、改定もあります。この記事で確認した日本の公的資料には、各国の規制を一覧にしたものはありませんでした。ジェトロの国・地域別情報で制度を確かめたうえで、最終的には現地の買い手に輸入の条件を確認してください。

中古車輸出の代金回収の注意点と貿易保険

中古車輸出で最も大きなリスクは、車を出したのに代金が回収できないことです。ジェトロのQ&Aは、支払条件が前払い(Advanced Payment)の場合は代金の入金を確認してから仕入れを行うのが普通で、契約と同時に仕入れると代金を回収できないリスクが生じるとしています。取引実績のない相手とは、全額又は一部を前払いにする条件を基本にし、船積書類を渡す時期を入金と結びつけて管理します。株式会社日本貿易保険(NEXI)は、日本の企業が行う海外取引の輸出不能や代金回収不能をカバーする貿易保険を扱っており、保険料率は相手国と取引先によって決まると説明しています。

  • 新しい買い手とは前払い条件を基本にし、入金を確認してから仕入れや船積みを進める。
  • 船荷証券(B/L)などの船積書類を渡す時期を、入金の確認と結びつける。
  • 買い手の事業内容と所在地を確認し、記録を残す。
  • 継続取引になったら、貿易保険の対象になるかをNEXIに確認する。

輸出した中古車のリサイクル料金の取戻し

リサイクル料金が預託された自動車を輸出した場合、所有者は自動車リサイクル促進センターに申請してリサイクル料金を取り戻せます。申請できる期間は輸出した日から2年間で、起算日は税関長による輸出許可日又は国土交通大臣等による輸出抹消登録日です。申請書には、輸出抹消仮登録証明書又は輸出予定届出証明書などの写し、車台番号が記載された輸出許可書の写し、車台番号が記載された船荷証券又は運送契約書の写しを添えます。申請はパソコン申請と一般申請の2通りで、手数料がかかります。解体自動車として輸出した場合は取戻しの申請ができない点、所有者以外が申請する場合は委任状が必要な点にも注意してください。

輸出業者にならずに中古車を海外へ売る方法

ここまでの手続きを自社で行うには、海貨業者との調整、外国語での契約、代金回収の管理まで担う体制が要ります。まず海外の需要を確かめたい段階なら、海外向けポータルサイトや中古車貿易会社のサイトに在庫を載せ、交渉と輸出の実務を相手側に任せる方法もあります。「在庫車を販売チャネルに一括登録」では、海外向けポータル(TCV、CARFROMJAPAN、PicknBuy24.com、CardealPage)と中古車貿易会社サイトに、国内の共有在庫や自社の在庫ホームページと同じ入力で在庫を載せられます。利用には弊社の整備システムまたは販売システムが必要です。国内の業者間販売との使い分けは中古車の業販とはをご覧ください。

まとめ

業者として中古車輸出を始めるには、買い手との契約と入金確認、海貨業者の選定、輸出抹消仮登録又は輸出予定届出証明書の取得、保税地域への搬入と輸出申告、船積みとB/Lの受け取り、リサイクル料金の取戻しという順番で手続きを進めます。証明書は輸出予定日の6か月前から受けられ、税関に原本を提出します。日本側の外為法による輸出規制と、輸入国側の年式規制などは、経済産業省とジェトロの情報、買い手への確認で事前に押さえます。代金回収は前払いを基本にし、継続取引では貿易保険も検討してください。自社で輸出体制を持つ前に需要を確かめたいなら、海外向けサイトへの掲載から始める方法があります。

中古車輸出の始め方に関するよくある質問

中古車輸出を始めるのに許可は必要ですか?
ジェトロの貿易投資相談Q&Aによると、古物商の許可は税関で輸出申告する際の必要条件ではありません。ただし、日本国内で中古車を買い取る場合は、輸出目的でも古物商許可が必要です。仕向国や品目によっては外為法に基づく経済産業大臣の許可や、輸出が禁止されている場合もあります。
輸出抹消仮登録証明書と輸出予定届出証明書はどう違いますか?
税関のカスタムスアンサーでは、一時抹消登録をしていない登録自動車は運輸支局等で輸出抹消仮登録を申請して輸出抹消仮登録証明書を受け、既に一時抹消登録をした自動車は輸出する旨を届け出て輸出予定届出証明書を受けると説明しています。軽自動車は軽自動車検査協会で輸出予定届出証明書を受けます。
輸出抹消仮登録はいつから申請できますか?
税関の案内では、輸出予定日の6か月前から輸出抹消仮登録証明書又は輸出予定届出証明書の交付を受けられます。輸出予定日を過ぎた場合や輸出を取りやめた場合は、証明書の返納手続きが必要です(東北運輸局)。
ロシアに中古車を輸出できますか?
経済産業省は2023年8月9日から、外為法に基づき排気量1,900cc超のガソリン車とディーゼル車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車などのロシア向け輸出を禁止しています。対象の詳細は関連の省令と通達で定められているため、輸出前に経済産業省の最新の法令で確認してください。
輸出した中古車のリサイクル料金は戻りますか?
自動車リサイクル促進センターの案内では、リサイクル料金が預託された自動車を輸出した場合、所有者が所定の手続きを行えば取戻しができます。期間は輸出した日から2年間で、解体自動車として輸出した場合は取戻しの申請ができません。
在庫車の情報や顧客の管理は、どうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です