中古車プライスボードの書き方|支払総額と必要表示事項、修復歴・走行距離の表示ルール

中古車のプライスボードは、店頭に並べた車の価格と状態をお客様に伝える表示で、書く項目と書き方は業界のルールで決まっています。この記事は中古車販売ノウハウの一つとして、中古車プライスボードの書き方を扱います。公取協の規約で決まる必要表示事項と支払総額の書き方を確認し、修復歴、走行距離、保証、定期点検整備の表示、用紙と文字の大きさ、ネット掲載の価格とそろえる方法までを、自動車公正取引協議会(公取協)の規約集とFAQをもとに整理します。
この記事で確認した一次情報
- 必要表示 -展示車-(自動車公正取引協議会)プライスボードに表示される11項目
- 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わりました(公取協)支払総額、車両価格、諸費用の考え方
- 自動車公正競争規約集(自動車公正取引協議会)中古車の規約第11条、第12条と施行規則
中古車プライスボードとは
中古車プライスボードとは、販売店が店頭に展示する中古車のフロントガラスの内側に掲げる、価格と車両情報の表示のことです。根拠は自動車公正競争規約第11条で、販売業者は一般消費者に直接販売する目的で展示する中古自動車に、決められた事項を邦文で外部から見やすい場所に明瞭に表示しなければならないとされています。公正競争規約とは、景品表示法第36条に基づき、公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けて業界が自主的に定めるルールです(消費者庁)。中古車の施行規則第1条は「見やすい場所」をフロントガラスの内側で外側から見える所と定め、第2条は公取協の様式に従い、A4判以上の用紙に、販売価格を108級(2.7cm角)、車名と主な仕様区分を60級(1.5cm角)、その他の事項を40級(1.0cm角)以上の肉太の文字で書くとしています。2023年10月1日からは、販売価格を「支払総額」の名称で表示することになりました。
プライスボードの必要表示事項
公取協の解説ページ「必要表示 -展示車-」は、公取協の会員店のプライスボードに表示される事項として次の11項目を挙げています。会員店であるかどうかにかかわらず、プライスボードを作るときはこの11項目を欄として持っておくと、書き漏れを防げます。
| 必要表示事項 | 書き方の要点 |
|---|---|
| 1 販売価格 | 支払総額と、内訳として車両価格と諸費用を書く |
| 2 初度登録年月 | 登録車は初度登録年月、軽自動車は初度検査年を書く |
| 3 車名及び主な仕様区分 | 排気量、ボディタイプ、グレード、ミッションタイプなど車両を特定する情報。車名にはペットネームを併記する |
| 4 定期点検整備の有無 | 「定期点検整備付き」又は「定期点検整備なし」と書く |
| 5 保証の有無 | 「保証付き」又は「保証なし」と書き、保証付きなら内容と期間又は距離を添える |
| 6 走行距離数 | 走行距離計の示すキロ数を書き、疑義や交換、改ざんがあればその旨を示す |
| 7 修復歴の有無 | 規約と日本自動車査定協会の基準で判断し、「有」か「無」と書く |
| 8 使用歴 | 自家用、営業用、レンタカー、その他のどれかを書く |
| 9 前使用者の点検整備記録簿の有無 | 展示時点から遡り2年以内の定期点検整備の記録簿が備え付けられていれば「有」とし、内容を付記する |
| 10 自動車検査証の有効期限 | 有効期限の年月日を書く |
| 11 自動車リサイクル料金 | 預託済みならその旨と預託金相当額が含まれる旨を、未預託なら廃棄時に支払いが必要な旨を書く |
使用歴の「営業用」は、施行規則第8条で道路運送法第2条の自動車運送事業に使った車とされ、「その他」は自動車教習所などで使った車で、区分を明記します。前使用者の点検整備記録簿を「無」と表示した場合は、走行距離数を確認した書類を備え付けておくことも求められています(施行規則第10条第2項)。
必要表示事項は、店頭のプライスボードと広告で求められる範囲が少し違います。規約第11条第1項は店頭に展示する車、第2項はインターネットや新聞、雑誌などの広告、第3項は通信販売を行う旨の広告を対象にしています。施行規則には、広告では車名をペットネームだけで足りる(第3条)、初度登録年月は初度登録年で足りる(第5条第3項)、自動車検査証の有効期限は年月で足りる(第9条)、前使用者の点検整備記録簿の有無は省略できる(第10条)といった緩和が定められています。反対に、広告では塗色と車台番号を加えて表示します。店頭用と広告用の書式を別々に持つ場合も、支払総額や修復歴、走行距離など、お客様が比べる中心の項目は同じ内容にそろえておきます。
支払総額・車両価格・諸費用の書き方
支払総額とは、車両価格に、その中古車を買うときに最低限必要な諸費用を加えた価格です。施行規則第6条は、車両価格を店頭で車両を引き渡す場合の消費税を含めた現金価格で、展示時点で既に装着済みの装備等を含む価格とし、諸費用を保険料、税金(法定費用を含む)、登録等に伴う費用と定めています。プライスボードには、支払総額と内訳の車両価格と諸費用を書き、価格に保険料や税金、登録等に伴う費用が含まれている旨と、登録の時期や地域などについて一定の条件を付けた価格である旨を添えます。公取協のFAQは条件の書き方の例として「支払総額は、当月現在、管轄支局登録、店頭納車の場合の価格です。お客様の要望に基づくオプション等の費用は、含まれておりません。」を示しています。名称は「支払総額」が必須で、「コミコミ価格」などはその上で併記できるだけです。
| 区分(公取協の解説) | 含めるもの | 含めないもの |
|---|---|---|
| 保険料 | 自賠責保険料(月割、未経過相当額を含む) | 任意保険料 |
| 税金と法定費用 | 自動車重量税、自動車税(月割)、車庫証明と検査登録の証紙代や印紙代、リサイクル預託金相当額(車両価格に含めない場合) | 希望ナンバーの申請費用 |
| 登録等に伴う費用 | 検査登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用など | 下取車諸手続代行費用、管轄外登録の追加費用、納車費用 |
公取協は、諸費用として請求できない費用も具体的に挙げています。納車準備費用や通常仕上費用といった名目の洗車や清掃の費用、納車前の点検や軽整備の費用、必ず付けて売る保証や定期点検整備の費用、オークションからの陸送費、利益や販売手数料、広告掲載料は、車両価格に含めるべきものとされています。
自動車税環境性能割と軽自動車税環境性能割は、2026年3月31日をもって廃止されています(日本中古自動車販売協会連合会)。2026年4月1日以降に登録や届出をする車両は対象外なので、プライスボードや見積書の様式に欄が残っていれば外してください。
在庫車を販売チャネルに一括登録
プライスボードの支払総額を書き換えたら、同じ車を載せている中古車情報サイトや共有在庫サイトの情報もそろえる必要があります。入力1回で複数のサイトに登録し、売れたら一括で非表示にできる仕組みの資料をご用意しています。
修復歴・走行距離・保証・定期点検整備の表示
価格の次に読まれるのが、修復歴、走行距離、保証、定期点検整備の欄です。修復歴とは、中古車の施行規則第14条によると、フレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー(フロント、センター及びリア)、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネルの8部位を修正又は交換して復元したものをいいます。修復歴がある場合は「有」、ない場合は「無」と表示し(第15条)、規約第12条により修復歴の部位を書面で表示して、外部から見やすい場所に掲げ、購入者にもその書面を交付します。書面の写しは作成した日から2年間保存します(施行規則第18条第2項)。走行距離数は、展示時点の走行距離計のキロ数を千km未満四捨五入で表示します(施行規則第7条)。走行距離計の交換、走行距離数の疑義、改ざんがある車は、それぞれその旨を書面で表示します。
| 表示する事項 | 書き方(規約と施行規則) |
|---|---|
| 走行距離計が交換されている車 | 交換されている旨と、交換前と交換後のキロ数を表示する |
| 走行距離数に疑義がある車 | 疑義がある旨と「?」の記号。推定できる根拠があれば推定キロ数、なければ「不明」と表示する |
| 走行距離計が改ざんされている車 | 改ざんされている旨を表示する |
| 保証付き | 保証の費用が車両価格に含まれ保証書が付くもの。保証の内容と保証期間又は保証走行距離数を付記する |
| 保証なし | 保証の費用が車両価格に含まれないもの。有償保証がある場合などはその旨を表示する |
| 定期点検整備付き | 引渡しまでに定期点検整備を実施して売るもの。整備費用は車両価格に含め、点検整備記録簿等を交付する |
| 定期点検整備なし | 上記以外。要整備箇所があればその旨を書面で表示する |
定期点検整備付きで売った車の点検整備記録簿等の写しは、自家用乗用車は作成の日から2年間、それ以外は1年間保存します(施行規則第12条)。公取協のFAQは、定期点検整備を実施して売るのに、その費用を支払総額に含めず商談の見積書に載せるやり方を「不当な価格表示」としています。
ネット掲載とプライスボードの一致
プライスボードと同じ車をインターネットにも載せるなら、両方の表示を同じ内容にそろえます。規約第11条第2項は、インターネットや新聞、雑誌などの広告に中古車の販売価格を表示する場合、プライスボードと同じ必要表示事項に加えて塗色と車台番号を表示するよう定め、施行規則第16条は車台番号を下3桁以上表示するとしています。インターネットで通信販売を行う旨を表示する場合は、送料や支払時期などの通信販売の必要表示事項(施行規則第17条)と、修復歴の部位など特定の車両状態をインターネットの広告に表示することも求められます(規約第12条第4項)。公取協のFAQは、月割の保険料や税金で支払総額が変わった時点で速やかに変更するよう求め、プライスカードを順次変更する場合も、インターネット等の広告に載せる価格と相違しないよう注意するとしています。店頭とサイトで価格が違うと、お客様は安い方の価格で買えると考えて来店します。
- 店頭のプライスボードと、各サイトの支払総額、車両価格、諸費用が同じ額か。
- 修復歴、走行距離、保証、定期点検整備の表示が店頭とサイトで同じか。
- サイトの広告に塗色と車台番号(下3桁以上)が入っているか。
- 売れた車がどのサイトにも残っていないか。
掲載するサイトが増えるほど、書き換えの漏れは起きやすくなります。各サイトの掲載費用の考え方はカーセンサー・グーネットの掲載料で扱っています。日本カーネットの「在庫車を販売チャネルに一括登録」は、車両販売管理ソフトに入力した在庫を複数のサイトにまとめて登録し、売れたら一括で非表示にするサービスです。
プライスボード作成のチェックリスト
プライスボードは、作り直すたびに同じ確認をすることになります。次の項目を店の手順書に入れておくと、担当者が変わっても表示の品質がそろいます。公取協のFAQによると、公取協は会員向けに、改正規約に対応した支払総額のプライスカードを無料で作成、印刷できる「プライスカード作成システム」を用意しています。また、価格はデジタル機器で表示し、変更の少ない保証の有無などは紙やボードで表示することも可能とされています。
- A4判以上の用紙で、販売価格108級、車名と主な仕様区分60級、その他40級以上の文字か。
- 販売価格を「支払総額」の名称で書き、車両価格と諸費用を内訳として書いたか。
- 支払総額より車両価格を大きく目立たせていないか。
- 価格の条件(時期、登録地域、店頭納車、オプションを含まない旨)を書いたか。
- 請求できない費用を諸費用に入れていないか。廃止された環境性能割の欄が残っていないか。
- 修復歴の有無と、有の場合の部位の書面を用意したか。
- 走行距離計の交換、疑義、改ざんの有無を確認したか。
- 保証付きなら内容と期間又は距離を書き、保証書を用意したか。
- 定期点検整備付きなら整備費用を車両価格に含めたか。
- ネットに載せている価格と表示が同じか。
公取協のFAQは、表示した支払総額で売らない場合などの「不当な価格表示」に対して、初回から厳重警告を行い、悪質な場合は違約金を課し事業者名を公表するなどの措置を採るとしています。
チェックリストは、プライスボードを作るときだけでなく、価格を変えたときと、車が売れたときにも使います。公取協のFAQによると、自賠責保険料や自動車税の未経過相当額は月割で計算するため、支払総額は月が変わると動きます。展示台数が多い店では全車を月末に一斉に書き換える必要はなく、順次変更してもよいとされていますが、その間もインターネット等の広告に載せた価格と食い違わないようにしなければなりません。プライスボード、見積書、注文書、各サイトの掲載情報を同じ車両データから作る仕組みにしておくと、書き換えの漏れが起きにくくなり、担当者による表示の差も小さくなります。
まとめ
中古車プライスボードは、自動車公正競争規約第11条に基づき、一般消費者に直接販売する目的で展示する中古車のフロントガラスの内側に掲げる表示です。A4判以上の用紙に決められた大きさの文字で、販売価格、初度登録年月、車名と主な仕様区分、定期点検整備の有無、保証の有無、走行距離数、修復歴の有無、使用歴、前使用者の点検整備記録簿の有無、車検の有効期限、リサイクル料金を書きます。販売価格は「支払総額」の名称で書き、車両価格と諸費用を内訳として示します。修復歴の部位や走行距離計の交換などは書面で表示し、写しを2年間保存します。インターネットに載せる場合は塗色と車台番号を加え、店頭とサイトの価格をそろえておきます。
中古車プライスボードに関するよくある質問
- プライスボードの大きさや文字の大きさに決まりはありますか?
- あります。自動車公正競争規約の中古車の施行規則第2条は、公取協の定める様式に従い、A4判(縦21.0cm、横29.6cm)以上の用紙に、販売価格を108級(2.7cm角)以上、車名と主な仕様区分を60級(1.5cm角)以上、その他の事項を40級(1.0cm角)以上の肉太の文字で表示すると定めています。
- プライスボードはどこに置けばよいですか?
- 規約第11条の「外部から見やすい場所」は、施行規則第1条で、その車のフロントガラスの内側で外側から見える所とされています。修復歴の部位など書面で表示する事項も、外部から見やすい場所に表示します。
- 「コミコミ価格」と書いてもよいですか?
- 公取協のFAQでは、販売価格は「支払総額」の名称で表示する必要があり、そのうえで「コミコミ価格」や「ポッキリ価格」を併せて表示することは可能とされています。「コミコミ価格」だけの表示はできません。
- 自賠責保険料や自動車税の月割で支払総額が毎月変わります。毎月書き換えるのですか?
- 公取協のFAQは、支払総額が変わった時点で速やかに変更するよう求めています。全車を月末に一斉に変える必要はなく、順次変更してもよいとされていますが、インターネット等の広告に載せた価格と食い違わないよう注意が必要です。
- 環境性能割は諸費用に入れますか?
- 入れません。日本中古自動車販売協会連合会によると、自動車税環境性能割と軽自動車税環境性能割は2026年3月31日をもって廃止され、新車と中古車を問わず2026年4月1日以降に登録や届出をする車両は対象外です。古いプライスボードや見積書の様式に欄が残っていないか見直してください。
- 在庫車の情報や顧客の管理は、どうすればよいですか?
- 販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。
- 自動車公正取引協議会 必要表示 -展示車-:https://www.aftc.or.jp/contents/am/kiyaku/chuuko/hitsuyou.html
- 自動車公正取引協議会 品質表示:https://www.aftc.or.jp/contents/am/kiyaku/chuuko/hinshitsu.html
- 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わりました:https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/index.html
- 自動車公正取引協議会 中古車の「支払総額」の表示に関するFAQ:https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/faq.html
- 自動車公正取引協議会 自動車公正競争規約集:https://www.aftc.or.jp/content/files/am/kiyaku/HP_kiyaku_202304.pdf
- 消費者庁 公正競争規約:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/fair_competition_code/
- 不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 日本中古自動車販売協会連合会 自動車税環境性能割の廃止について:https://www.jucda.or.jp/tax/kankyouseinouwari/









