中古車の在庫回転率と在庫日数の計算方法|長期在庫のコストと売り切るための出口

中古車の在庫は、置いておくだけで資金と商品価値が少しずつ減っていきます。この記事は中古車販売ノウハウの一つとして、「中古車の在庫回転率と在庫日数」を扱います。計算式と長期在庫のコスト、売り切るための出口を整理し、値下げ、業販、輸出への切り替えをどの時点で判断するか、掲載チャネルを増やすと何が変わるかまで、販売店の実務に沿ってまとめました。公的な表示ルールと税の扱いは、自動車公正取引協議会(公取協)と東京都主税局の公表資料で確認しています。
この記事で確認した一次情報
- 中古車の値引き表示について(公取協 広告表示FAQ)中古車の二重価格表示ができない理由
- 自動車税の課税について(東京都主税局)4月1日現在の所有者への課税と抹消時の月割減額
- 「支払総額」の表示に関するFAQ(公取協)プライスカードとインターネット広告の価格をそろえる注意
中古車の在庫回転率と在庫日数の計算式
中古車の在庫回転率とは、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す数字で、台数で測る場合は「期間中の販売台数÷期間中の平均在庫台数」で求めます。例えば年間180台を販売し、月末在庫の12か月平均が30台なら、在庫回転率は年6回です。在庫日数はその裏返しで、「365日÷年間の在庫回転率」で平均値が出ます。この例では365÷6で約61日となり、仕入れた車が平均して2か月ほどで売れている計算です。金額で測る場合は「売上原価÷平均在庫金額」を使います。高額車と低額車が混在する店では、台数ベースと金額ベースで回転率が食い違うことがあり、その差から「高い車ほど売れ残っている」といった偏りが読み取れます。どちらの式も、期首と期末の2時点だけで平均を取ると季節の山や谷に引きずられるため、毎月末の在庫を記録して12か月で平均するのが基本です。
| 指標 | 計算式 | 計算例(年間180台販売・平均在庫30台) |
|---|---|---|
| 在庫回転率(台数) | 期間中の販売台数÷平均在庫台数 | 180÷30=年6回 |
| 在庫回転率(金額) | 売上原価÷平均在庫金額 | 原価合計1億8,000万円÷平均在庫3,000万円=年6回 |
| 平均在庫日数 | 365日÷年間の在庫回転率 | 365÷6=約61日 |
| 1台ごとの在庫日数 | 販売日(又は今日)−仕入日 | 4月10日仕入れ、6月20日成約なら71日 |
上の数字はいずれも計算方法を示すための例です。この記事で確認した公的機関や業界団体の資料には、中古車販売店の在庫回転率や在庫日数の業界平均は載っていませんでした。小売中心か業販中心か、軽自動車中心か輸入車中心かで適正な水準は大きく変わるため、他店の数字と比べるより、自店の前年同月と比べるほうが判断を誤りにくくなります。
台数ベースと金額ベースの使い分け
店全体の資金の回り方を見るなら金額ベース、売場の入れ替わりや仕入れ担当の動きを見るなら台数ベースが向いています。経営会議では金額ベースで借入れや仕入れ枠と照らし合わせ、日々の現場では1台ごとの在庫日数で「どの車を先に動かすか」を決める、という二段構えにすると数字が実務につながります。
中古車の在庫日数を1台ごとに管理する方法
在庫日数の管理とは、仕入日から何日たったかで在庫車を区分し、区分ごとに打つ手を決めておくことです。平均値だけを見ていると、よく売れる車が平均を押し下げ、売れ残っている数台が見えなくなります。仕入日、仕入価格、整備や板金にかけた費用、現在の支払総額を1台ごとに記録し、毎週の打ち合わせで在庫日数の長い順に並べて確認すると、手を打つ時期を逃しにくくなります。区分の日数は店の回転の速さで変わります。下の表は区切り方の一例で、平均在庫日数が60日前後の店を想定しています。区分ごとに担当者と確認する曜日を決めておけば、誰かが気づくのを待たずに、価格の見直しや出口の切り替えを予定どおりに進められます。
| 在庫日数の区分(例) | 確認すること | 打つ手の例 |
|---|---|---|
| 0〜30日 | 掲載写真とコメントがそろっているか、全チャネルに出ているか | 掲載の抜け漏れを直す |
| 31〜60日 | 問い合わせ件数と閲覧数、近い条件の競合車の価格 | 写真の撮り直し、コメントの書き直し、支払総額の見直し |
| 61〜90日 | 小売で売り切れるか、業販や共有在庫に出すか | 共有在庫や海外向けサイトへの掲載を追加 |
| 91日超 | 次の4月1日までに残りそうか、車検の残り期間 | 業販価格での売却、オークション出品など出口を決める |
区分の境目に来た車を自動で一覧にできると、確認の手間が大きく減ります。車両販売システム(車販ソフト)に仕入日と原価を入れておけば、在庫日数や粗利を一覧で並べられます。
在庫車を販売チャネルに一括登録
在庫車の情報を一度入力すれば、国内の共有在庫、海外向けサイト、自社の在庫ホームページまでまとめて掲載できます。在庫日数が延びてきた車の出口を増やしたい方はご相談ください。
中古車の長期在庫にかかるコスト
中古車の長期在庫のコストとは、売れるまでの間に失われるお金と商品価値の合計です。目に見えやすいのは仕入資金の金利や展示場の場所代ですが、中古車ではそれに加えて商品そのものの価値が時間とともに下がります。公取協の広告表示FAQは、中古車について「品質劣化や車検残及び自賠責、自動車税の未経過分の減少等により経済価値が下落する」商品だと説明しています。つまり、同じ車を同じ価格で置き続けても、買い手から見た割安感は日ごとに薄れていきます。税の面では、東京都主税局の案内のとおり、自動車税は4月1日現在の車検証上の所有者に1年分が課税されます。販売店名義に登録した在庫車が4月1日をまたぐと、その年度の税は販売店にかかります。なお自動車税種別割は2026年4月1日から「自動車税」に名称が変わり、自動車税環境性能割は2026年3月31日で廃止されています。
| コストの種類 | 中身 | 確認先・根拠 |
|---|---|---|
| 資金の拘束 | 仕入代金、整備費、板金費が売れるまで戻らない。借入れで仕入れていれば金利がかかる | 自店の資金繰り表 |
| 車検残と自賠責の目減り | 残り期間が短くなり、お客様から見た価値が下がる | 公取協 広告表示FAQ(中古車の値引き表示) |
| 自動車税 | 4月1日現在の所有者に1年分。年度途中の抹消登録は翌月から月割で減額 | 東京都主税局 |
| 価格表示の更新 | 諸費用が変わればプライスカードと広告の支払総額を直す | 公取協「支払総額」FAQ |
| 展示と保管 | 展示場の区画、洗車やバッテリー管理の手間 | 自店の実績 |
公取協の支払総額FAQは、プライスカードを順次変更してもよいとしつつ、インターネット等の広告に載せた価格と食い違わないよう注意を求めています。在庫が長くなるほど価格の見直し回数が増え、掲載先が多いほど直す場所も増えるため、長期在庫は事務の手間も膨らませます。
4月1日をまたぎそうな在庫車について、販売店によっては一時抹消登録を検討する場合があります。一時抹消登録は国土交通省の案内で「自動車の使用を一時的に中止した場合に必要な手続き」とされています。再び登録する手間と費用もかかるため、管轄の運輸支局の案内と税の扱いを確認してから判断してください。
中古車の長期在庫の出口(値下げ・業販・輸出)
長期在庫の出口とは、小売で売れなかった車を現金に変える別の売り先のことで、主に値下げして小売を続ける方法、業販や共有在庫で同業者に売る方法、海外向けに売る方法、オートオークションに出す方法の4つがあります。どれを選ぶかは、粗利をどこまで削れるかと、現金化までに何日待てるかで決まります。値下げをする場合は表示の仕方に注意が要ります。公取協の広告表示FAQは、中古車について「15万円引き」のような過去の販売価格と比べた値引き表示を、不当な二重価格表示に当たるおそれがあるとして認めていません。価格を下げたら、新しい支払総額と内訳の車両価格、諸費用を表示し直すのが正しい方法です。
| 出口 | 向いている車 | 注意点 |
|---|---|---|
| 価格を見直して小売を続ける | 閲覧数はあるが問い合わせが少ない車 | 「◯万円引き」の値引き表示はしない。支払総額を表示し直す |
| 業販・共有在庫 | 小売では動きにくいが、業者の仕入れ需要がある車 | 粗利は小売より小さい。車両状態の説明を正確に |
| 海外向けサイト・貿易会社 | 多走行車、商用車、国内で人気の薄い仕様 | 仕向国の規制や需要は国ごとに違う |
| オートオークション | 早く現金化したい車 | 出品料や陸送費がかかり、落札価格は当日の相場次第 |
業者間で売る方法の違いは中古車の業販とはと共有在庫とは、海外向けに売る方法は在庫車を海外に売るにはで詳しく扱っています。
掲載チャネルを増やすと在庫日数はどう変わるか
掲載チャネルを増やす意味は、同じ1台を見る買い手の種類と数を増やし、小売と業販と海外の出口を同時に開いておくことにあります。小売向けのポータルサイトだけに出している車は、そのサイトを見る一般のお客様にしか届きません。共有在庫サイトに出せば同業者の仕入れ担当に、海外向けポータルに出せば海外のバイヤーに届きます。在庫日数が60日を超えてから出口を探し始めるより、仕入れた日から複数のチャネルに出しておき、条件の良いところで成約させるほうが、値下げに頼る回数を減らせます。とくに業販や海外で値が付きやすい車は、小売の反応を待つ間にも業者や海外バイヤーの目に触れるため、在庫日数が延びにくくなります。
ただし、掲載先が増えると、売れた車をすべての掲載先から下ろす作業も増えます。消費者庁の「おとり広告に関する表示」等の運用基準は、広告した商品が売却済みである場合を、実際には取引に応じられない場合の例に挙げています。成約した車がどこかのサイトに残り続けると、この基準に触れるおそれがあります。
- 在庫情報の入力は1回にまとめ、掲載先ごとに打ち直さない。
- 成約したら、その日のうちに全掲載先で売約済み(SOLD OUT)の処理をする。
- 価格を見直したら、全掲載先の支払総額を同じ日に更新する。
- チャネルごとの問い合わせ件数と成約台数を月ごとに記録する。
「在庫車を販売チャネルに一括登録」は、車両販売管理ソフトに入力した在庫情報を、国内共有在庫(Quick×Quick、ASNET、アイオーク、JUテントリ、バザールネット)、海外向けポータル(TCV、CARFROMJAPAN、PicknBuy24.com、CardealPage)、中古車貿易会社サイト、中古車カーリース会社向けサイト、ヤフオク、自社専用の在庫ホームページへまとめて登録し、SOLD OUT処理も一括で行うサービスです。カーセンサーのC-MATCHとGooのMOTORGATEへの連動は、各社との別途契約が必要です。利用には弊社の整備システムまたは販売システムが必要です。詳しくはサービスのトップページをご覧ください。
中古車の在庫回転率を上げる仕入れと値付けの見直し
在庫回転率は売り方だけでなく、仕入れの段階でほぼ決まります。過去に在庫日数が長かった車種、年式、価格帯を洗い出し、同じ条件の車を仕入れるときは、小売で売れなかった場合の業販価格や海外向けの引き合いまで見込んで仕入れ値の上限を決めておくと、売れ残ったときの損失を抑えられます。値付けでは、同じ車種、年式、走行距離の競合車の支払総額を掲載サイトで確認し、自店の車の装備や整備内容と比べて説明できる価格にします。仕入れ値の上限と出口を最初に決めておく習慣は、在庫回転率の数字そのものより、売れ残ったときの損失の大きさに効いてきます。月に一度、在庫日数の長かった車の仕入れ判断を振り返る時間を設けると、次の仕入れに反映しやすくなります。
- 直近12か月の販売車両を在庫日数の長い順に並べ、共通する車種や価格帯を確認した。
- 仕入れのたびに、小売で売れなかった場合の出口と価格を決めている。
- 在庫日数の区分ごとに、誰がいつ何をするかを決めている。
- 成約した車を全掲載先から下ろす手順が決まっている。
- 月末在庫の台数と金額を毎月記録している。
まとめ
中古車の在庫回転率は「販売台数÷平均在庫台数」、在庫日数の平均は「365日÷在庫回転率」で求められます。平均値に加えて1台ごとの在庫日数を区分で管理すると、手を打つ車が見えてきます。長期在庫は資金の拘束に加え、車検残や自賠責の目減り、4月1日現在の所有者にかかる自動車税、価格表示の更新の手間を生みます。値下げするときは値引き表示をせず支払総額を表示し直し、小売で動かない車は業販、共有在庫、海外向けサイトへ早めに出口を広げます。掲載先を増やすなら、入力を1回にまとめ、売れた車を全サイトから同じ日に下ろす仕組みを先に用意してください。
中古車の在庫回転率と在庫日数に関するよくある質問
- 中古車の在庫回転率はどう計算しますか?
- 台数で見る場合は、一定期間の販売台数を同じ期間の平均在庫台数で割ります。年間180台を売り、平均在庫が30台なら年6回転です。金額で見る場合は売上原価を平均在庫金額で割ります。どちらの式でも、期首と期末だけでなく月末在庫の平均を使うと季節の偏りを抑えられます。
- 在庫日数と在庫回転率はどう違いますか?
- 在庫回転率は一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す回数で、在庫日数は1台が売れるまでに何日かかったかを示す日数です。年間の在庫回転率が6回なら、365日を6で割って平均の在庫日数は約61日になります。現場の判断には、1台ごとの仕入日から数えた在庫日数のほうが使いやすい指標です。
- 中古車の在庫回転率の業界平均はどのくらいですか?
- この記事で確認した公的機関や業界団体の資料には、中古車販売店の在庫回転率や在庫日数の業界平均は示されていません。仕入れ方や小売と業販の比率で数字は大きく変わるため、自店の過去12か月の数字を基準にして、月ごとの変化を見るほうが判断に使えます。
- 長く売れ残った中古車を「◯万円引き」と広告してもよいですか?
- 自動車公正取引協議会の広告表示FAQでは、中古車は時間の経過で商品の同一性が失われていくため、過去の販売価格と比べた値引き表示(二重価格表示)は不当表示に当たるおそれがあるため行えないとしています。価格を見直す場合は、新しい支払総額を表示します。
- 在庫車の自動車税は誰が払いますか?
- 東京都主税局の案内では、自動車税は4月1日現在の車検証上の所有者に1年分が課税されます。販売店名義で登録したまま4月1日をまたいだ在庫車は、販売店に納税通知書が届きます。年度の途中で抹消登録をすると、抹消した月の翌月から月割で減額されます。
- 在庫車の情報や顧客の管理は、どうすればよいですか?
- 販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。
- 自動車公正取引協議会 広告表示FAQ 中古車の値引き表示について:https://www.aftc.or.jp/content/files/am/kiyaku/kokokuFaq/used/10/used_10_004.pdf
- 自動車公正取引協議会 中古車の「支払総額」の表示に関するFAQ:https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/faq.html
- 自動車公正取引協議会 中古車規約のポイント 必要表示(展示車):https://www.aftc.or.jp/contents/am/kiyaku/chuuko/hitsuyou.html
- 東京都主税局 自動車税(自動車と税金):https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/automobiles/j
- 国土交通省 車を一時使用中止・解体・輸出するためには:https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/erase/index.html
- 消費者庁 「おとり広告に関する表示」等の運用基準:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_31.pdf
- 日本カーネット 在庫車を販売チャネルに一括登録:https://cds.j-carnet.co.jp/









